ばんどり長者の屋敷跡
坂東次五衛門と云う貧乏な百姓がいて、とても働き者でした。朝早くから夜遅くまで雨の日も風の日も休まず、田畑へ出て行きましたが、ある日、野良から帰って、ずぶぬれのすりきれたばんとりを臼の上に置き、ちょっとさわったところ、ぱらぱらと米がこぼれてきました。
不思議に思って、臼をまわすとどんどん米が出てくるのです。たちまち大金持ちになりました。
そのころ、下立に粕塚長者がいて、美しい娘がおりました。縁があって坂東長者のところへ嫁入りすることになりました。長者は大事な娘をとつがせるとあって、七日七晩かかって餅をつき、その餅の上を歩かせたのでした。
娘の歩いた餅は、皆白い鳥になって空高く飛んでいき、長者はだんだんと貧乏になりました。